古書ノーボのブログ

本や店の話。

臨時休業のお知らせ その2

続けて臨時休業のお知らせで申し訳ありませんが、今度の金曜3/16日、ひょうご大古本市関係の作業のため、12時半から17時ごろまで、営業を中断いたします。11時半から12時半、17時ごろから19時半までは通常通り営業いたしますので、その時間にご来店頂くよう、お願いいたします。

最近の仕入れから

最近仕入れた中でキラリと光る本を一冊。
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造本もいいけれど、写真が素晴らしい。
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新刊で河出文庫でも手に入ります。

季節のうた (河出文庫)

季節のうた (河出文庫)

森茉莉の本三冊

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当店には現在、森茉莉の単行本が三冊あるのですが、以下の理由でわりとお求めやすい価格になっています。
一冊目は『マドゥモァゼル・ルウルウ』で、三浦半島の小さな新刊書店の片隅の古本コーナーで売られていたという来歴で、いい本ですが、函がないのが決定的です。
二冊目は『靴の音』で、昭和33年初版の翌月の再版、少々汚れや傷みもありますが、何より表紙に保護用のビニールががっちり貼り付けられています。機能的にはいいのですが、本の価値は当然下がります。
三冊目は『贅澤貧乏』で、状態はほぼ問題ありません。函が一部黄ばんでいなければ、美だと言えそうなぐらいです。問題なのは、1963年初版の本なのに、ここにある本は1997年の改版17刷であることです。文庫で読めることはさておいても、このくらい最近まで出版されている本の値段が上がることはなさそうです。

吸血鬼小説

いま店ではハロウィンという理由付けで「西洋の怪物」という特集をしています。そこで中心になっている、吸血鬼小説の古典を少し紹介します。
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創元推理文庫でも対になっている二作品。ブラム・ストーカーの作品(1897)は今さら内容について言うことはないでしょうが、すべてが手紙や日記、新聞記事という体裁で綴られているため、盛り上がりに欠けるかもしれません。レ・ファニュの作品(1871)は中編で、小説としてはこちらの方がよくできていると思います。そもそも『吸血鬼ドラキュラ』が書かれる動機になった作品ということからも、古典として扱う理由がありますが、女性が女性の吸血鬼に襲われる筋なので、両者のその後の取り上げられ方に差が出ているかもしれません。
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ここに収録されているジョン・ポリドリの「吸血鬼」(1819)はあの『フランケンシュタイン』と同じ機会に創作されたというエピソードでも有名です。この作品から十九世紀前半の吸血鬼ブームが起きたということで、古典にふさわしいと思います。もっともその吸血鬼は、死体になったのに生き返ったらしいという点以外、結婚詐欺師に近い存在です。
あと一点、現代の作品も取り上げると、店ではキングの『呪われた町』やアン・ライスの『夜明けのバンパイア』も並べていますが、あえて2016年のこちらの作品を紹介します。
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十九世紀半ばのポーランドの田舎で吸血鬼がどんなものだったか、それを説得力を持って描き、さらに巧妙に小説として処理しています。できれば新刊で買って欲しい本です。

吸血鬼

吸血鬼