古書ノーボのブログ

本や店の話。

トンカ書店さんの話 その5

 前回で自分の個人的なトンカ書店さんの話はほとんど済んでいる。残るは実際貰ってきたものを写真で振り返ることぐらいである。最後にもう一度繰り返すと、ここではあくまで個人的なトンカ書店さんについての思い出を述べてきただけなので、事実関係は確かではない。

 最初は過去に購入した出版物3点。

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 手元に今あるのはこの『再生紙の砦』だけだが、香山哲さんは色々トンカ書店さんのイベントにも関わっているはずで、ミニブックの入ったガチャガチャが置いてあったこともあるし(一回やってみた)、イベントのお知らせでトンカさんを魔女風に描いたイラストがあったのも覚えている。

 後はフリーペーパー。

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 同じく。 

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  また同じく。

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数からみてわかるように、「全家畜」という文芸フリーペーパーはちょっと好みだった。内容はマンガとエッセイなど。中村よおさんの「トオリヌケ・キ」は人気だったのか数が少なかったのか、手に入ることがあまりなかったと思う。

 最後の写真。 

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 森元暢之さんのマンガが読めたのはうれしかったのを覚えている。これは奈良のフリーペーパーで、他も日本各地のものがいろいろと置いてあった。こうしたものをもっと貰っていたとは思うが、今手元に出せるのはこれで全部である。

 

長くなりましたが続けて最後まで読んでくれた方には感謝します。ありがとうございました。

トンカ書店さんの話 その4

 初めてトンカ書店さんに入った時のことは一応覚えている。他の店と同じように入口の均一棚を見、店内に入って正面の棚から右手の方へ見進めていった。コミックのあたりが特に興味を引いたのも覚えている。ただ、その時買ったものを覚えていないということは、百円均一の本を2、3冊買ったのだと思う。とりあえず普通の古本屋と同じように振舞ったのだが、それは逆に普通の古本屋とは違う店だという先入観があったからかもしれない。トンカさんは他のお客さんと話していたように思う。また、十代か大学生かといった若いお客さんが入って行く(入って来る)ということにも気が付いた。あらかじめ情報のあった店だったけれども、緊張したのは間違いなかった。そのせいか他の感想ははっきりしない。あと確かなのは最初一階の入り口はどこか少し探したことである。

 次に来店した時もそれほど変わったことはなかったはずである。ただ3回目以降はおそらくフリーペーパーに注目し始めたと思う。大量のそれをごそごそと漁ることに時間を費やすようになっていった。来店を重ねるごとにフリーペーパーを見る時間が増え、店に入る前にそうしたり、それだけを見て店に入らないということも一度あったように思う。また入って左手のコーナーにも目が向きはじめた。そちらには古本でなく自主出版物、ミニコミ誌やリトルプレス、また新刊も置いていた。それらは扱う店が神戸でここだけのものが多かった。古本を見ないわけではなかったが、次第にここだけにあるものを目指して、また面白そうな展示を知って行くようになった。

 そうして今に至るということになるのだが、振り返ると最初店に入る時に「感じた」大事なものを見逃しているのではないか、と気が付いた。もっと単純に店に「入る時」に感じたことといえば、それはもう視覚的な印象などではなく、覚えていることをそのまま失礼ながら表現すると、なんか妙な音楽が流れている、だった。トンカさんの店で流れている音楽をどう呼ぶのか、私の語彙では「レトロ歌謡」ぐらいしか浮かばないが、とにかく意味するところは店でいつも流れている音楽のことである。私にとっては、この音楽が示すものがトンカ書店さんなのだった。その音楽の流れている空間、作り出す雰囲気だけではない。また単に店主の好みを示すだけでもない。この音楽を選んでずっと流しているということは様々な意味があり、人によって受け取り方の異なるそれを一つ一つ列挙はしないが、それらすべてがトンカ書店さんを表現していることになると思う。

トンカ書店さんの話 その3

  みずのわ出版から出た出版物と言えば「 spin 」(スピン)が印象にあるけれども、それより少し小さな判型・作りは同じで2006年12月に出たのが「神戸の古本力」という本である。

 

  この本は神戸の古本屋の資料としても大変有用なのだが、元になっているのは同年7月の海文堂でのトークショーである。そこでトンカ書店さんの話が出てくる。

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 当時海文堂の北村知之さんがこのように紹介している。私はこのイベントに行くことができず、さらにこの本もたぶん海文堂で買ったはずだが、そもそももっと後でトンカ書店さんで買った可能性もないとはいえない。 私にとってなかなか大事な本なのだが、初めて来店したのはいつ頃かの参考にはならない。

 ただこれは次の本とのつながりでも興味深い。この画像の箇所の情報を元にしてトンカさんを取材したと『女子の古本屋』には書かれているのである。

 

女子の古本屋

女子の古本屋

 

 この本は発売(2008年3/25日発行)からそれほど日を空けずに買ったはずで、トンカさんのところ「も」載ってるという認識だった。読んでから店主がそんな人だったのか、と思ったのも覚えている。だからこの本を読む前に、少なくとも3回はトンカ書店さんを訪れていたはずである。当時同じ古本屋に月に何度も訪れることはなかったので、3回ということは少なくと3か月以上かかるはずだった。だから初めて店内に入ったのは2007年のうちということになる。さらによく読むと、著者が取材に訪れたのは2月の後半でネーポンのイベントをやっており、トンカさんが4月に旅行でしばらく店を休むという話も載っている。ネーポンは売っていなかったけれども、旅行に出られる前に来店した記憶はある(というより東欧の雑貨を売ってるのを見て旅先で買ったんだなと思ったのを覚えている)ので、結論として2007年3月あたりに私は初めてトンカ書店さんを訪れた、ということになる。

 

トンカ書店さんの話 その2

 街を歩いていてふと古本屋を見つけて入る、というのは至って理想的な形だが、残念ながらそうしたことは減る傾向にあるのではないか。最近来店されたお客さんとトンカ書店さんの話になり、その方は道を歩いていて偶然あの二階の窓に飾られていた懐かしい絵本を見、店に入られた、ということだった。それから足繁く来店されたそうなので、これを僥倖と言わずして・・・と多少うらやましく思う。

 2006年頃スマートフォンはまだ普及していないが、インターネットで調べた店に行くのは普通のことだった。だからその古本屋を行く前から知っている、というのは変わったことではなかったかもしれない。だが、トンカ書店さんは話題になっているので知っていた、という自分としては珍しいケースである。私がどこでそれを知ったのかという話をもう少し続けさせてもらうなら、海文堂書店にはもっと前から行っていたので、そこから情報を得た、という可能性もないわけではない。だが、やはり話題になっていた、という部分で食い違う。ネットで話題になって知っていたのでは、というのは当然推測されるところだろう。たまたま個人のホームページでその話題を見つけることはない訳ではなかったのだが、古書店の話題を匿名掲示板などで調べるということは、そもそもやっていなかったのでありえない。例えばサッカーの話題はネット上で情報を得る割合が多い(元々インターネットを利用するようになったのはマスコミではわからないサッカー関係の情報を得るためだった)が、古書店の場合はそうした手段をあまり取らなかったし、今もそうである。これは単に評判を調べる必要を感じないという理由による。

 結局どうやらマスコミから情報を得たようなのだが発信源がわからない、ということになる。わからない話ばかり続けるのもどうかと思うので、いつ初めて店に行ったか、という話に移りたい。

 私が初めてお店に入った時にはもうネーポンを売っていなかったと思う。はっきり断定できないのはこちらで飲食をしたことがないからで、私は見ていないけど実はまだ売っていたという可能性はわずかに残る。あとはそれが2006年中だったかもう2007年になっていたかで、単純に製造元のネーポンの販売終了が2007年2月までになのでそれ以降という推測ができる。ここでようやくあやふやな私の記憶だけの話でなく、資料のある話ができるようになるのだが、またそれだけで長くなるので次の話にしたい。

トンカ書店さんの話 その1

 12月20日でトンカ書店さんが今の場所から移転されるので、個人的な思い出をその前に書いておきたい。ご本人に確認することはしないつもりなので、事実関係は保証しない。

 まず学生の頃、中島らもの『西方冗土 カンサイ帝国の栄光と衰退』を読んでいたことが大事な点で、「ネーポン」という清涼飲料水にまつわるエピソードを知っていた。話は飛んで2005年前後、私は東京の学術系の古書店で働いていた。両親は神戸に居住しており、毎年帰省はしていたが神戸の古書店事情などはあまり知らなかった。さて、その頃に神戸でネーポンを売っている変わった古本屋がある、という情報を得ることになったのだが、当時映像か画像を見たと記憶している。東京での話である。最初にもしかしてテレビ朝日の「トゥナイトⅡ」かな、と思ったが調べると番組は2002年にすでに終わっていた。当時東京の古書店の情報はそれなりに集めていたと思うが、関西、神戸の情報は入ってくる手段が限られている。文字情報としては有力なのが「[本]のメルマガ」で、2003年から購読しているのでそこから知った可能性はある。だが映像あるいは画像はどこからなのか不思議である。2006年春にはほぼ神戸で居住する形になったので、記憶違いでもっと後だった可能性もある。だが、やはりその話題の出どころについて見当がつかない。当時神戸に業界の知り合いは一人もいなかった。ひとつ「エルマガジン」の可能性はあるのだが、これは2006年当時に買ったことはなかったはずである。とりあえず、初めて行く前からトンカ書店さんのことは知っていたし、店内の様子も見たように記憶している、というのが最初の話である。

中之島まつり参加のお知らせ

5/3から5/5まで大阪中之島で開催される中之島まつりに参加します。1003さんからのご紹介で、矢野書房天満橋店さんの古本屋ブースに出店します。当店は台一台のスペースなので、文庫、小説、コミック、映画などジャンルを絞った品揃えになりそうです。。まつり全体は映画祭や出店など様々な形で規模の大きい(日本最大級の市民まつり)もので、市役所北側の「古本・古道具通り」のテントの1つのそのまた台1つという形ですが、五月、大阪、祭りという雰囲気に合わせた売場にしようと思います。
中之島まつりについては
http://nakanoshima.net/sp/index.html
なお搬入などのため、5/2水曜日と5/5土曜日は店をお休みいたします。どうかよろしくお願いします。

続森茉莉の本

当店もようやく一周年を迎えました。これも当店を様々な形で応援してくださった方々のおかげです。ありがとうございました。そしてこれからもどうぞよろしくお願いいたします。

森茉莉のいい本が店にない、という話を前に書いていたら、いい本を仕入れることができました。
『甘い蜜の部屋 限定版』新潮社 1975
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装幀は池田満寿夫
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サイン入り。
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どこからどうみてもいい本で、それなりの値段になっています。
買うかはわからないが、サイン見たいという方も、どうぞご来店ください。言ってもらえれば対応します。もちろんまだ売れていなければ、ですが。